「とにかく、刺さる」という評判が気になって「傲慢と善良」(辻村 深月 著)を読んでみました。
これ、婚活のお話だったんですね。知りませんでした。
ジャンル的には婚活ミステリー?なんですかね。
婚活で知り合った婚約中の彼女が、ある日「ストーカーに狙われているかもしれない」という言葉を残して失踪するお話です。
主人公の架が、消えてしまった婚約者を探すため彼女の地元へ出向き、色んな人に話を聞いていく中で、必死に結婚相手を選ぼうともがく彼女の傲慢さや、地方の箱入り娘であるがゆえの善良のせいで婚活に苦しんでいる様子を目の当たりにし、そんな自分もまたある種の傲慢さを持っていたことに気づく…といった内容でした。
婚活は「選び」「選ばれる」作業。
これはもう、読む時期によって感想が異なるのではないかと思いますが、婚活中の方ならとても刺さるのかもしれません。
婚活の難しさは「選ぶ側」であるのと同時に「選ばれる側」でもあるということかな、と思います。
自分は相手をジャッジしているのに、自分がジャッジされるのは傷つく、という矛盾がしんどい。
書いていてしんどいなぁと思いましたが、婚活ってもう、恋愛の始まりとは全然違いますね。
物語の主人公の架も真実も、それなりに傲慢で、打算的な部分があって、前半はそんな描写が続くので、人によってはあまりいいイメージは抱かないかもしれませんが、私は「まぁ、人なんてこんなものだろう」と思いました。
逆に、自分や相手が傲慢かどうかなんてことを考えている時点で、期待しすぎかもな、なんて。たぶんそれが苦しいんだろうな、と。
別にいいじゃん、傲慢で。
そんなもんだよ、みんな。
それを踏まえて自分はどうしたいのか。
そう考えられるタフさが婚活では意外と必要なんでしょうね。
主人公の女友達は最悪でした。
それにしても、作中の架の親友と自称する女友達がとても不快でした。
婚活市場において、かなりの優良物件である架を取られるのが悔しくて、婚約者の真美に色んなことを吹き込むあたりの品のなさ、というか。
「架にとってあなたは70点」とわざわざ伝える底意地の悪さは本当に不快。
こういう、誰も幸せにならない行動を平然と取れる人はいくら付き合いが長くても親友とは呼びたくないな、と思います。
周りに居なくてよかったです。本当に。
ラストは賛否あるそうですが私は好きです。
物語のラストは賛否両論あるようですが、私は気持ちよく受け入れられました。
ネタバレになるので割愛しますが、時間の経過によって人間って成長しますし、ある出来事がきっかけで人間性が変わることもあるし、そういう、伸びしろというか、可能性を残した終わり方は個人的に好きです。
個人的には、架も真美も、自分で選んだ相手とちゃんと幸せになる努力をしてほしいなと思います。
結婚って、本当にスタートですしね。
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